目隠しキューバーのひとりごと

目隠しルービックキューブをやってます

多分割+α BLDにおけるtips

前書き

一般的に3BLDを習得してそれなりにやり込んだ後は4BLD、5BLD、さらには6分割以上やmegaminx BLDなど、あらゆるパズルで目隠しの成功を求めることは通常の流れです。

しかし4BLD以降の情報量はなぜか極端に少なく、方法に関しては探せば何とかわかりますが、それ以外の技術的情報や考え方などが不足していると感じます。9BLD挑戦中の筆者が何かBLDの世界に貢献出来るものがないかと思い、思いつくままtipsを残す事にしました。

なお本文内では気持ちが乗ってることもあり「こうした方がいい」という書き方をしている部分もありますが、全員に当てはまるものではないと思うので、なるほど〜と思ったもののみ拾って頂ければと思います。

随時思いついたものはこの記事に追記していきます。

お断り
ここに記載しているtipsはタイム短縮に寄与するものでは無く、あくまで成功率に全振りするための考え方です。あらゆる場面でタイムを犠牲にして確実性を上げていますので、全然optimalじゃない!!とのクレームは受け付けません。

4BLD以降の手順集

手順自体は先人の方々が道筋を残してくれています。下記リンクを押さえておけば手順はOKです。
※他にも手順の説明に焦点を当てた記事が有れば教えてください。追記します。

4BLD
4BLD入門(Y.Yさんからの寄稿) | Cube Voyage

5BLD
5BLD入門(Y.Yさんからの寄稿) | Cube Voyage

4BLD/5BLD
4BLDと5BLD、同時習得の勧め。及び5BLDのU2法解説 | ― no torture, no BLD ―

6BLD/7BLD
7BLDのFAQ - おもにBLD
6BLD/7BLDのtips - 目隠しキューバーのひとりごと

megaminx BLD
Megaminx BLDへのいざない - タニシ・キューブログ

piraminx BLD
ムダ知識!ピラミンクスBLDについて | ― no torture, no BLD ―
ピラミンクスBLDの解法を自作してみた話 - 全種目スピードキューバーになりたい人

筆者の現状(2022/6現在)

僕は3BLDに半年ほど浸かった後、天啓を受けて4BLDの扉を開いてしまったばっかりに元の世界(開眼)に戻れなくなってしまいました。コンマ秒を争う戦いにはもうついていけません…

なお偉そうにtipsだとか言ってますが今のところ大層なスキルは持ち合わせておりません。
3BLD=59.50
4BLD=3:58.30
5BLD=9:46.62
6BLD=27:57.88
7BLD=46:36.44
9BLD=1:32:51.40
MBLD=18/21 1:45:08.17
メガBLD=36:40.53
メガMBLD=未挑戦
ピラBLD=2:31.74

※2022/9/9現在

※3BLDはM2/OP、orozco経由して3styleに移行したいところ。
4BLD以降はすべてセンター3cycle/r2/OP、いずれはすべて3styleに移行します。

リソースについて

3BLDも含め、BLDの成功において一番重要なことは細かいプロセス1個1個における使用リソースを少なくする事です。BLDには大小あれどプロセスが沢山あります。

・分析記憶
ステッカーからナンバリングを想起する
次の場所を確認する
数文字ごとに場所法などで記憶を定着
ループ発生時に次の始点を探す
EO/CO/パリティなどの特殊な記憶
分析誤り、文字数のチェック

・実行
記憶からナンバリングを数文字づつ取り出す
ナンバリングに対応する手順を思い出し実行

最初のうちは、これらのプロセス全てにそれなりに脳のリソースが取られます。このリソースが許容量を超えた時に記憶飛びや分析・実行ミスが起こってしまいます。これらの使用リソースは繰り返し練習することでゼロに近づけていくことが出来、その分記憶の定着度が上がり、実行中のミスも少なくなります。

いずれは人と会話しながらでも4BLDや5BLDを成功させることが出来るようになります。ただしその頃には人としての何かを失っているかも知れません。

またどれだけ慣れてきた頃でも、リソースを瞬間的に食い潰す敵は色々います。

ロックアップする
顔が痒くなる
喉が乾く
トイレに行きたくなる
周囲から音が聞こえる
選挙カーが来る
眠気
勉強や仕事など現実世界の悩みが気になってくる
成功を想像してしまう

準備で解決する部分は準備しておきましょう。
僕は1時間以上かかる試技の時は、顔を洗いトイレを済ませて飲み物を用意してから始めます。前日に睡眠をあまり取れてない時はやりません。事前に準備することで防げることもありますが、特に現実世界の悩みというか気になることが勝手に湧き出てくることは防げません。根本的にゼロにしたければ出家して悟りを開くしかない。

tips(多分割BLD共通)

ここからtipsをつらつら書きなぐっていきます。思いついた順なので、特に重要度とか関係ないです。3BLDにも当てはまるところは少しあるかと思います。

・記憶実行順について
これは上記各ブログでも言及されていますが、最低でも初成功まではセンター ⇒ ウイングエッジ(以降WE) ⇒ コーナーが良いです。

コーナーを音記憶としてコーナーファーストする方法もありますが、場所法で記憶する文字数を少し減らすメリットよりも音記憶が薄れる前に早くコーナーを終わらせないといけない焦りや、1文字残したまま忘れてしまうデメリットの方が大きいと思います。ある程度成功出来てきて、タイムを縮めるフェーズに入った時でいいと思います。

意外かも知れませんが、タイムを意識しない初成功においては多分割BLDでの記憶量・記憶飛びはそれほど大きい問題ではありません。記憶量を増やしてでも各プロセスのリソースを減らす方向に向けるべきです。

・中層の指遣い
4BLD以降は中層を安定して回すために、モノに慣れないうちは中層のみを指で弾く方法(1つ目の動画)ではなく外層と合わせて回す指使い(2つ目の動画)をするほうが無難です。多分割の指遣いに慣れている方はこの限りではありません。

youtube.com

youtube.com※2つ目の動画内で行っているr2の指遣いはl2にも使えますが、6×6以上の場合は層を間違えやすいのでlを2回実行するのが無難です。

・センター 3cycle
センターに関しては自身の経験上、早めにU2法から3cycle解法を習得して乗り換えることをおすすめします。
4BLDセンターの3cycle解法 入門(Y.Yさんからの寄稿) | Cube Voyage

習得コストがすごく少ない割にセンターを素早く実行出来るメリットが大きいです。6BLD以上ではセンターが多すぎて一生終わらないように感じますが、半生ぐらいで終わらせられるようになります。

U2法をマスターしている方が3cycleを習得するコストは、主観ですがOLL10個覚えるぐらいじゃないかなあ。それぐらいシンプルです。

慣れさえすれば、回す手順は少なければ少ないほどミスの確率も下がります。少し回り道に思えるかもしれませんが、この簡易3cycleは習得コストが低いので初成功前に習得しても良いかなと思うほど本当にオススメです。いずれは誰しもoptimal3stylerになるんですし。

・レターペア整理
多分割BLDでは3BLDで出なかったレターペアがたくさん出現します。記憶フェーズで単語がすぐに出てこないケースがあまりにも多いと、それにリソースを食われてしまい成功率が下がります。苦手なペアだけでも予め単語を設定しておくことで有利になります。

・WEのl列手順
上で紹介した手順のサイトではl列WEの手順として
・BUl: (B’ R’ B R’ U R U’) r2 (U R’ U’ R B’ R B)
・DBl/FDl/UFl: l回転でBUlにセットアップして上記

が載っています。僕が知っている限りではここ以外の日本語サイトで手順は見つけられなかったのですが、Twitterでとてもいい手順を教えてもらったので紹介します。
・BUl: (U2 Lw' U2 Lw U2) r2 (U2 Lw' U2 Lw U2)
・DBl/FDl/UFl: l回転でBUlにセットアップして上記
手数も少なく何より回しやすい!!オススメです。
なお、6BLD/7BLDなら Lwを3Lwに、8BLD/9BLDなら4Lwに変えることで無限にWEを処理出来ます。素晴らしい。

・1つの手順実行中に中断してはいけない
憎きセンターD面などの長い手順はインサートが5手になります。ちょっと慣れてくると実行中に次のレターペアのことを考えてしまうのですが、インサートのどこまで回したかが突然分からなくなることがあります。この時点で9割方失敗してしまうので、念を入れすぎだと思わずその手順に集中しましょう。

長い手順に限らないですが、1つの手順実行中は赤子が泣いたとしてもインターバルを空けるのはやめましょう。高確率でどこまでやったか忘れます。また止む無く一旦キューブから手を離す場合は、どの文字まで実行したかをちゃんと記憶しましょう。

・よく知っている手順でも一手ごとに覚えておく必要がある
例えばM2法(エッジ)のRB、OP法(コーナー)のRDFなど、回転記号を1つずつソラで言えるでしょうか。僕は言えませんでした。

3BLDを習得した時は当然覚えていたと思いますが、ある程度慣れて多分割BLDに挑戦する頃には"指が覚えて"いて1手ずつだと実行出来なくなっているのではないでしょうか。
多分割キューブはモノも大きいし中層を巻き込まないよう気を遣うため、慣れるまでスムーズな指遣いは出来ないと思った方がいいです。1手1手慎重に層を確認しながら回す必要があるので、どこで止まっても確実に再開出来る必要があります。

・コーナーファーストについて
記事の上の方でコーナーファーストはやめた方がいいと書きましたが、それでもコーナーファーストする場合のtipsです。

OPでコーナーファーストとする場合、手順を4n回までにしておかないとセンターが回転してしまうため、奇数だった場合は最後に1文字残しておくことになります。この1文字がWE完了後にどこかに放浪して帰ってこない事が結構あります。逆に1日何回もやってると必要ないのに居たりもします。

もし1文字余ったら、WEの最後の場所に明示的に突っ込んであげましょう。これに慣れれば居なくなる事はあまり無くなります。
※なんかtipsとして書いたけど当たり前のようにみんなやってる気がしてきました…

9BLDのtips

まだ9BLDを成功させていない分際でtipsを出すのは気が引けますが、たぶん今現在世界で一番9BLDのことを考えているのは僕だと思うので許してください。(2022/9/9 初成功しました)

・手順
多分割BLDの実行手順については6BLDで全て網羅されます。それ以上は新たな手順が出てくることはありません。集中力さえあれば理論的には何分割でも目隠しで解けます。脳も溶けます。

・中層の感覚
9BLDでは何層目を回しているかの感覚を掴むことが大切です。まずは目を瞑って2〜5層目を確実に判断出来るようになりましょう(横スライス、縦スライス共に)

なりましょう…だけではtipsの意味が無いので僕自身の経験をお伝えしておきます。

初見で1~3層目までの感覚はわかりました。初めて9×9を触る方とだいたい同じかと思います。4層目と5層目が微妙な雰囲気でしたので、まず3層を掴んでそこから1層ずつ数えるように4と5層目を判断していました。しかしこれではとても実行には耐えられないため、今では使いません。

次に自分の中指の第一関節をキューブのカドに当てたとき自然に回せるのがちょうど4層目であることに気がついたので、それを目印として使う方法にしました。

youtube.com

そこから層間違いはあまり無くなり安定してきましたが、現在はそれこそ感覚でわかるようになったので数えることや第一関節を当てることはたまにしかしません。

個人差はあると思いますが、9×9を触っていればいずれわかるようになると思います。僕自身が感覚をつかめたのは目をつぶって30時間ぐらい遊んだ頃でした。

・BLDに適したモノを選ぶ

ピロータイプ(角が丸いモデル)はおそらく9BLDには不向きです。開眼なら何か利点はあるのかも知れませんが、目隠しにおいては不安定であるデメリットが大きすぎます。
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大きさは74.5mm前後のものがおすすめです。僕は最初にMeiLongを購入しました。

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少し回りが悪いですが、9×9は個体差も結構有るでしょう。ある程度回すと削れてきていい感じになります。今思えばこれで頑張っても良かったと思います。値段が安めな割に、3つ目で紹介するmf9に結構近い感触。大きさも同じ。

 

2つ目はリトマジを購入しましたが、素直にデカすぎた。全然リトルじゃない。

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回転も重いし引っかかりも多い、物理的にも重いので 3時間持ち続ける・回し続ける筋力をつけるトレーニングから必要というかなり上級者向けの逸品です。これも個人の感想ですので、個体差により良いモノもあるかも知れません。

悪いところばかりではアレなので、良いところを言うと大きい故に中層の感覚はピカイチわかりやすいです。でもそれだけ。。

 

最後に3つ目、メインキューブはこれになりました。moyuのmf9です。

MF8856 Mofang Jiaoshi Meilong MF9 9x9 Magic Cubewww.moyustore.com※だいぶ高くなりますが購入される場合はPremium A& M : (Highly recommended)を選択しましょう。品質が段違いのようです。

これは文句なしです。日本のショップには無いのでmoyu shopで購入し空輸してもらいました。存在するのなら僕が崇拝するMGCの感触の9×9が欲しかったのですが、おそらく世の中には存在しないので。。

スクランブルは慎重に
これは成功とかとは関係無いんですが、9×9がポップすると結構戻すの大変です。割れたりすると再輸入するまでの1ヶ月生きていけません。値段も高いし。

ハンドスクランブルは列ごとにしましょう。

パート練習
7BLD以降の目新しい手順はないのですが、層の判断に思ってるより気を取られているためパート単位(xセンター最外、WE2層目など)で手順をより完璧にするのが良いと思います。このパート苦手かなぁという部分は無いようにしたいですね。

僕はパートを16に分けて現在練習中です。1パート5分前後で出来るのでお手軽です。最低各パート20回ずつ、直近で5連続成功ぐらいまでは持っていきたいと思います。
各パートの個別成功率が90%でも合計したら18%(≒0.9^16)です。ほぼ間違えない、というところまで持っていかないとダメですね。

f:id:nagoyancube:20220626203856j:image

・身体/環境の準備

上でも書きましたが長時間の勝負です。集中力を削ぐ要因は可能な限り対処しておきましょう。

 - 前日は睡眠を十分に摂る(一番大事)
 睡眠不足は分析記憶実行全てのフェーズに悪影響がでます

 - 時間内に外部刺激が入らない事
 可能な限り集中出来る環境を準備しましょう。宅配が来る可能性があるとか、電話が鳴る可能性があるとか、実際に起きなくても「かも知れない」緊張があるだけでメンタルはブレます。体調さえ合えば深夜がベストですね。

 - 周辺機器の準備
 9BLD挑戦は是非オンカメでやるべきだと思いますが、カメラやPCの充電切れにも十分注意してください。実行中にバッテリー切れのブザーが聞こえたら動揺して失敗します

・挑戦
色々事前準備が要るという話をしましたが、時間が取れてモチベが溢れてる方は3時間前後の集中出来る時間を確保してどんどんやりましょう。挑戦して失敗することが一番成長すると思います。

megaminx BLDの tips

・手順
手順は上記リンクにすべて記載されています。megaminxBLDの手順を網羅した、おそらく日本語で記述されている唯一の文献です。熟読しましょう。

・分析・記憶に関して
記憶量は約50文字、4BLD程度です。ただし使用文字種が格段に多いです。四角いBLDと違って各面5パーツ×12面=60文字種あり、単語化しにくいレターペアがいっぱいあります。
megaBLDを生業にするのであれば当然60×59=3540単語分の一覧を作るべきですが、大半の人はそうはいきません。一番無難なのは1文字=1単語とすることです。場所は倍使いますが、所詮25箇所程度なので5BLD相当。なんとかなります。

僕自身は初成功までは無理やり2文字=1単語にしていましたが、やはり少し不安定でした(無理やり単語にしているので表記ゆれ的なミスが結構あった)。いずれ3megaマルチに挑戦する際はどうするかまだわかりません。

なお「じ・ぢ」「ず・づ」については同音のため扱いに困りましたが、同じ扱いで単語を作っていました。「ぢ・づ」の時だけ炎上(燃えている)イメージにすることで、案外いけました。

・机
megaminxBLDは基本的に机に置いて手順を回します。長時間座れる椅子と机を用意しましょう。机は、滑りやすすぎず摩擦が強すぎない素材がいいです。つるつる滑る表面加工や、逆にラバーマットの机では不適です。

pyraminxBLD

上記リンクの解説を読めば出来ます。難易度は2BLDと3BLDの間ぐらいだと思います。箸休めにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。開眼ピラにも応用が効く知識があるかも知れません(?)
※私は開眼ピラを知りません。悪しからず…